最近行動経済学の本が流行ってますよね。
(流行ってるというと語弊があるかな・・・)
きっかけはこれでした。
感情バイアスとかアンカーとか保有効果とか、損得勘定に関する話が例題をふんだんに使って分かりやすく解説されております。
詳しいステキな書評が既にあるため、この本についてはこちらを推薦させていただきます。
感情の落とし穴の底で読みたい一冊 – 書評 – 世界は感情で動く(404 Blog Not Found)
で、ようやく最近読んだもので、紹介したいなと思ったのがこちら。
今更かよ、という感じですがw
ペプシコーラとコカコーラの、製品名を伏せた場合と製品名を明らかにした場合の味の評価についての話とかも中々だとは思うのですが、時期的に一番興味深かったのは社会規範と市場規範についての評がすごく面白いなー、と。
ここで言う「社会規範」は良心や道徳・奉仕のことを言い、「市場規範」は所謂貨幣経済のことを言います。
ある単純作業を、金額報酬を提示した場合(金額には2種類ありました)と、無償の場合とどのパターンが作業の成果が一番良かったかの実験のケースが記載されていました。
結果、一番成果が上がったのは無報酬の作業だったグループ。
ちなみにこの報酬を、プレゼントにした場合には違いは見られず、プレゼントの金額を明らかにした場合は金銭報酬と同じ結果だった、とのこと。
たとえ少額でも報酬が頭に入ると、とたんに良心は市場規範に置き換えられ、市場規範はどこかに吹く飛んでしまう、との結びになっていました。
これを読んでふと思ったのがPPPの話や、ソーシャルメディアの企業利用の話についてです。
PPPは、報酬が前提にあるからコピペのような記事が氾濫しやすいし、ソーシャルメディアは人の善意が前提にあり「集合の知」の力が発揮される。
(この本の中には、人の不正直さに関する実験例もあります。)
それが頭をよぎったまま読み進めていくと、ビジネスへの応用の話も出てきていました。
以下、引用です。
ここ、2,30年、各企業は社会的な企業として売り込もうと努力している。自分たちのことを家族か、少なくとも同じ通りに住んでいる友人だと思ってもらいたがっている。・・・(中略)・・・だが、私達には1つ不可解なことがある。企業は、社会的な関係の印象—を作り出そうと、マーケティングや広告に何十億ドルもつぎ込んではいるが、社会的な関係の本質、特にその危険性を理解していないように思えてならない。・・・(中略)・・・あるときは顧客を家族のように扱い、一瞬後にはその方が便利だからとかりえきがあがるからという理由で、顧客を樋個人として、さらには厄介者や競争相手であるかのように扱うわけにはいかない。社会的な関係とはそういうものではない。
はじめからあいまいな高感度で選ばれる会社にするためにお金を無駄にしない方がいいだろう。
この辺に関しては、プロダクトアウトの話(タイムリーに2件結びたい話があったんです)で別途纏めたいところではあるんですが・・・。
まぁ、書かれているのは、社会規範は市場規範を両立させることは難しいよ、という点。
それが現状、ソーシャルメディアという仕組みがここの線引きをどこか分かりにくくしてるのかなぁ。
以前書いた企業と顧客の関係性のエントリを読み返し、その関係が社会規範であるのか市場規範であるのかの振り返りは改めてすべきだなと再確認。
とりあえず今のタイミングで読んでおいて良かったな、と思った本でした。